


お母さんの手記
私はRとK、2人の自閉症の男の子の母親です。長男は2歳3ヶ月の時に児童相談所にて自閉症と診断されました。
当時は言葉も殆ど無く、喃語が10個も出ていない程度で、パニックを起こして暴れたり、床や壁に頭を打ちつける自傷行動も激しく、目も合わない、言葉も伝わらない、泣いて怒ってばかりで、何を考えているのか全く分からない子供でした。
我が子にこんな表現をする事を醜いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本当に「自分が産んだ子を可愛がって育てていたら、野生の猿だった。」という様な状態で、育児書とは全く別の発達をしていく息子にどう接してあげたら良いのかと不安は募る一方でした。
ここまでではなくても、私の様な思いを抱えている方がきっと沢山いらっしゃるのではないでしょうか?
長男は2歳4ヶ月から悠悠クラブに通い始めました。最初は泣き叫び、反り返って暴れてばかりで全く座っている事が出来ず、先生1人が必ず息子1人の為に付いて抑えて下さいましたが、力の限り抵抗し奇声をあげる息子を見て、他の子供達が恐がって、つられて泣き出す等、大変な迷惑をかけてしまい、親としては心苦しいばかりでした。
しかし、クラブの先生が「人間は脳有る限り、必ず発達します。障害が有るからと諦める必要は有りません。みんなと一緒にやっていけるかと考えるじゃなくて、やるんです!」とキッパリおっしゃって下さった言葉を信じてお任せする事にしました。
言葉通り、少しずつ、皆と一緒に座って取り組める時間も延び、集中力も付いていき、「ライオン」を「ラー」、「キリン」を「キー」等の喃語がいくつも飛び出してきて、私達大人の顔を覗き込んで、何やら話しかけてくる様にもなってきました。そして何より嬉しかったのは、笑顔いっぱいの表情豊かな子供に変化していった事でした。出来る事なら、ここで皆様に映像を通して見て頂きたいくらいです。現在の様子は、是非、音声で確認して下さい。コミュニケーションもスムーズになっていることがおわかり頂けると思います。
又、クラブでは発語の取組みとして、英語のカリキュラムがあり、2人の子供は英語との出会いによって、沢山の物に興味を持ち、色々な物を英語で何と言うのか知りたがるようになりました。今では「エイゴ! エイゴ!」と質問してくる様になり、私が電子辞書を持ち歩いて、出来る限り答えてあげる様にしていたら、更に興味が深まり、どんどん覚えて普段の会話の中で所々英語で答えが返ってくる事もしばしば有ります。
大好きな楽しい英語をきっかけに沢山の発語に繋がっていったのは言うまでも無く、声を出して発音しようとしたり、名前を覚えようとする事が、日本語のボキャブラリーを増やすという結果にも結び付いていきました。
それから、次男についてですが、1歳を過ぎた頃から長男と似ていると感じ、1歳半検診までに意味の有る単語を発していなかったので、すぐ児童相談所で検査を受けました。案じたように、自閉症との診断を受け、すぐにクラブに入会しました。
その後、某医院での診断では、知的障害を伴う自閉症で1歳11ヶ月の実年齢に対し、10ヶ月の赤ちゃんと同レベルの理解力しか無く、話せる様になるには、かなりの時間が必要になるでしょうと言われ、療育手帳も貰った方が良いのではないかとアドバイスを頂いたので、暫く悩みました。
しかし、2歳2ヶ月の時に児童相談所にて再度発達検査を受けたところ、「全体的に劇的に伸びており、定型発達児と同レベルに追いつきました。前回の1歳半検診の後の検査から半年間で一体何が有ったんですか?」と驚かれました。クラブでの取組みを開始してわずか7ヶ月後のことでした。
それまで全く言葉を発していなかった次男でしたが、今では、2語文を話せる様になり、思った事を口で伝えられる様になった事でストレスが少なくなったのか、床に頭を打ちつける様な自傷行動は見られなくなりました。
又、沢山の刺激や情報を得た事で、同じ遊びをずっと繰り返したり、ぐるぐる回り続ける様な行動が無くなり、色々な物に興味を示す様になりました。療育を始めた時期が早かった事で長男よりもスムーズに自閉症特有の行動も改善していった事を実感しています。
私は息子達をこのクラブに通わせる事で、「子供のありのままを受け入れる」という事は、「この子はこんな子なんだから、このままを愛するしか仕方無いんだ」と思う事ではなく、今のありのままの姿を見つめ、足りない部分を少しでも補い、改善する努力を止める事なく、子供本人が将来社会の一員として少しでも生きやすくなる様に挑戦し続ける事なのだと自分自身が発想の転換をする事が出来ました。
ですから、今の息子達2人を見ていて、「将来どんな大人になるのかナー?」と楽しい気持ちになります。以前は正直、「どんな大人」どころか「どんな子供」に育つのか想像するのも恐ろしかったので、私自身が育児に希望を持てる様になれた事で大変嬉しく思っています。
これからも先生方のお力をお借りして、子供達と一歩一歩前へ進んでいきたいと思います。